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10,究極の哲学エンタ 「ソクラテスの言語将棋」

ソクラテスは、言葉を楽器のように演奏し、人々を「しびれさせる」ことを、プラトンの『饗宴』でアルキビアデスが語っていることを「8,哲学とは、言葉を楽器のように演奏することである」で紹介しました。今回は、ソクラテスがあたかも将棋を指すように、言葉によって対話相手を「善」なる状態...

9,気になる、気にする、気遣う

前回は、詩人・ねじめ正一から始まる「詩のボクシング」、会場の人々を踊り出させる「カラオケ・エンタ」、70年前の従妹との再会による「タイムスリップ・エンタ」、4,000枚のCDから新しい自己を紡ぎ出す「未来自分作りエンタ」、「宮崎アニメの網の目構造と交差する「メディア・トリッ...

8、哲学とは、言葉を楽器のように演奏することである

前回、お一人から「普段話すことのない自分のことをつい話してしまい、何かこの講座で自分をはがされている感じがします」とのお言葉をいただきました。実は、「自分はがし」は、ソクラテスのお得意技で、はがすことによって、自身を見つめ直しするきっかけを相手にあげるのです。...

7,最高のエンタは「考える」ことですか?

前回、「あなたは何者」の問いに対して、実にエンタな答えを皆さんが用意してくれました。「亭主の鑑のような人」「小役人」「サザエさん」「レースのカーテン越しに見ているような人」「いい旦那じゃないけど、いいお父さん」。最高傑作が「半径2kmの宇宙で生きる、イチジクコバチの雄より多...

6,あなたは何者なのですか

プラトンは対話編『ゴルギアス』において、高名なソフィスト・ゴルギアスに対して、ソクラテスに「あなたは何者なのか」と問わせています。この問いは「問われた人間の本質は何か」を意味しており、ゴルギアスは「人間を徳へと導く教師である」と答えています。この答えを導入口として、「徳とは...

5,『饗宴』―美とは何か

一通り参加者の話が終わると、いつもは問いかける側のソクラテスが、逆にディオティマという女性から問いかけられる形となります。ディオティマは、人々は「何を愛するのか」と問いかけ、「美しい体」「美しい心」と話を進め、永遠に変わることのない「美そのもの」を求めるのだ、と説いてゆきま...

4,知のエンタテイナー ソクラテス

さて、いよいよ今講座の主人公ソクラテスの登場です。ソクラテスと言えば「知を愛すること」、すなわち常に「哲学」(philosophy⇒philo 愛する sophia 知)している人でした。お一人がリクエストしてくれたプラトンの『饗宴』は、「知のエンタテイナー」としてのソクラ...

3,ソクラテスにつながるソフィストの「遊びごと」

前回の問い「遊びと掛けて哲学と解く」に、その心として「自分自身を忘れさせてくれる」「どちらも役にたたない」から「華道・書道などの道が両者を結ぶ」「舐めていると色が変化していく駄菓子の変わり玉を思い出す」など、実に啓発的なご意見を皆さまから頂戴しました。京都の造園家・重森三玲...

2,哲学者は道化師、旅芸人?

黒のボールペンにワクワクする方、音楽を聴いているときに絶頂感を感じている方、日常性のなかに小さな違いを見つけて高揚感を感じる方――前回も、皆さまからたくさんのお話いただきました。ミーシャ・デフォンスカの虚偽話―8歳のホロコーストの被害者を装って、映画化までされたオオカミと旅...

1, ミーシャの旅と哲学

エンタテインメント=entertainment は、動詞entertainの名詞形です。 Entertainには、次のような意味があります(by 英辞郎on the Web) entertainmentの意味・使い方・読み方|英辞郎 on the WEB...

令和6年度第Ⅰ期SOA講座 哲学サロンーエンターテイナーとしてのソクラテス

1,ミーシャの旅と哲学 2, ホイジンガ「哲学者は奇術師」 3,大道芸人ソクラテス 4, ほら吹き男ソクラテス 5,知の闘技人ソフィスト 6,プラトンのエンタ性 7,気真面目なアリストテレスの底抜け 8,エンタ哲学の堕落第一章―ローマ 9,エンタ哲学の堕落第二章-デカルト...

9, 神の肉化-イエス・キリスト

今回は、テクスト『木から落ちた神さま』の「第七章 イエス・キリスト」(pp.115-pp.126)から「キリストの復活」の意味解読へと進むことに致します。 前回は、ヤハウェ的な神が、「啓示」を受ける預言者たちによって受け継がれてきたことを書きました。しかし、啓示は特別な人た...

1, 出会いがもたらす「汝」という名の神

前回の講座「100歳からの哲学」最終回で、マルティン・ブーバー(オーストリア出身のユダヤ系哲学者。1878~1965)の神との対話に踏み込んだ『我と汝』(野口啓祐訳、講談社学術文庫)における「問いかけから始まることになると思います。お楽しみに!」で終えました。...

2, 神さまの目的とはー「ハエ取り壺」脱出作戦

前回わたしたちは、ブーバー風に言えば、「それ」と仮に名付けた「神」について、自由に発言してもらいました。 「私の田舎の富山では、代々、天神さまの掛け軸を受け継ぐ習慣がありました。天神とは、学問の神として祭り上げられている菅原道真です」「神の話というテーマで思い出すのは、宇宙...

3, 神から飛び火した『砂の女』と自由の問題

神なるものが存在するのであれば、「何のために」存在しているのか、アリストテレスの「目的因」思考によって、皆さんの神についての語りが、沸騰してきました。 「神は経済的な豊かさを保証するために存在してきたのではないでしょうか。その典型がキリスト教で、各地の地神の上に君臨して世界...

4,カントさんに聞いてみよう

前回は、安部公房の『砂の女』を題材に、二種類の自由「脱出への自由」と「留まる自由」について議論しました。富崎さんは、現代の私たちは、抜け出す勇気もなくぬるま湯に安住している「ゆで蛙」である、と「留まる自由」に漬かったまま抜け出そうとしない私たちを辛辣かつコミカルに表現してい...

5,ルターさんの前に現れた「恐ろしいもの」

私たちが語り合う「神のような存在」を「それ」と呼ぶのに対し、私たち個々の人間が「出会う」神的存在をブーバーは「汝(なんじ)」と呼んで区別しました。こうした出会い体験は、多くの聖職者たちの体験に必ず登場してきます。本日は、ドイツの宗教改革者マルティン・ルター(1483~154...

6,阿弥陀仏の悟り

万人に対して矛盾する生き方(「自由」と「従属」)を説いているように思われるルターの考え方に対して、皆さんから多種多様な声を頂戴しました。 「確か、武士道の本質として、生きることは死ぬことだ、とあった気がします。武士としては、いつでも死ぬことを覚悟した精神を示しているのではな...

7、共存の哲学「君あり、ゆえに我あり」

前回は、お一人の「虫も殺さない」というジャイナ教の話にいたく惹かれました。ジャイナ教徒の家に生まれ、ジャイナ教の修行僧を経てガンジー思想に共鳴し、バートランド・ラッセルやマーチン・ルーサー・キング牧師らを訪れるなど「思想の巡礼」を重ね、デカルトの二元論「我思う、故に我あり」...

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