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3,ソクラテスにつながるソフィストの「遊びごと」

  • 2024年1月30日
  • 読了時間: 3分

 前回の問い「遊びと掛けて哲学と解く」に、その心として「自分自身を忘れさせてくれる」「どちらも役にたたない」から「華道・書道などの道が両者を結ぶ」「舐めていると色が変化していく駄菓子の変わり玉を思い出す」など、実に啓発的なご意見を皆さまから頂戴しました。京都の造園家・重森三玲の枯山水庭園やミレーの絵画「オフィーリア」のように絵の中に閉じ込められた主人公の前で展開する原田マハの淫靡な小説の世界、ソクラテスの武勇伝を腰抜け笑劇に仕立てたブレヒトの「怪我をしたソクラテス」など、皆さまの連想に、「哲学」と交叉する遊びの世界が透けて見える気がします。講座の先輩ご教示の中国古典の名言「高談娯心」(高い志をもっての談笑は、私たちの心を豊かにする⇒有馬温泉宿に、伊藤博文の書が掲げられていることで知られる。)も関連で思い出されました。

 

 お一人がご紹介の後白河法皇「遊びをせんとや生れけむ、戯れせんとや生れけん、遊ぶ子供の声きけば、我が身さえこそ動がるれ」(梁塵秘抄)には、「遊び心」が「哲学」と同様に私達たちに自由を与えてくれることを示している気がします。理性による世界平和の実現を求めたカントに、芸術を「感覚の遊び」と称して「遊び論」を展開するもう一つの顔があることも、お示ししましょう。本日は、古代ギリシアのソフィストの「遊びごと」がソクラテスの産婆術に通じていくことを見ていくことに致します。

 

「われわれが遊びという概念の輪郭を描こうとするとき、その円の中心に立つのがギリシアのソフィストたちの形姿である。古代の文化生活の中央に位する存在として、預言者、シャーマン、奇蹟の人、詩人…ソフィストというのは彼らのやや逸脱した後継者なのである。人前で自分の腕をふるいたいという欲望、ライヴァルを公の競争で負かしてやろうという欲望、この社会的な遊びの二つの大きな衝動は、ソフィストの機能のなかでもはっきりと表面に現れている」(ホイジンガ『ホモ・ルーデンス』、p.350)


「ソフィストの行動は、見せびらかし『長口舌』である。彼は自らうまく弁ずることのできる多くの観念をしかと身につけていて、それを思いのままに弄ぶのだ。彼はまた、それに対して報酬を要求する」「高名なソフィストが町に現われることは一つの事件だった。彼らは奇蹟術師のようにまじまじと仰ぎ見られ、闘士に擬えられた。ソフィストの仕事はまったくスポーツと同じ領域で行われていたわけである。見物人はその狙いの巧妙な自慢は無しに喝采し、爆笑した。それは純粋に遊びであって、敵を弁舌の網のなかに捕らえ、敵に『ノックアウト』の一撃を与えるものだった。いつでも、どんな答えでも間違いにしてしまうような陥穽仕掛けの質問を持ち出すことが、誇りとされていた」(同p.352)

 

「知恵を働かせる遊び、相手を陥穽仕掛けの質問に引っ掛けてやろうとする遊びは、ギリシア人の会話のなかで大きな分野を占めるものであった。…この『遊びごと』、ソフィストの意味ありげな技巧的弁論術と、ソクラテス的な哲学的論議問答との間の移り行きは滑らかである」(同pp.354-355)

 

 その弁舌力を武器に、ソフィストたちは都市国家の「外交官」として雇われ、ときに平和の使者としても活躍しています。たとえばプラトンのソクラテス対話編『ヒッピアス(大)』に、そのことが見て取れます。

 
 
 

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