8, 生まれ変わり願望とソクラテス
- 3月3日
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「トランプのしていることは豊かなものはどんどんゆたかになり、貧しいものは逆にどんどん貧しくなるK字発展。しかし、貧しい階層を救うとのトランプ流ごまかしに騙されている」
「たくさんの国とのレートを加重平均する実質実効為替レートをみると、円はそれほど下がっているとは思えない。日本を訪れる発展途上国では賃金はあがるが物価もあがっている。日本は、ずっと物価も賃金も上がらないままできた。昔のことを考えると、日本が貧しくなっているとは思えない」
「日本はもはや茹蛙状態になっている。飛んできた核ミサイルが反射されて発射国に戻ってしまうソフトを開発すれば、戦争などしかける国はなくなる。日本は、いまこそこういうソフトを開発して世界に平和をもたらすことに専心すべきだ」
とまあ、前回も素晴らしく啓発的な声をたくさん頂戴しました。さて、今回の講座のテーマ「ソクラテスの正体」も最終回に近づいてきました。真打と言ってもいい、アリストテレスの登場です。テキスト「ソクラテスにとって、他者とは何であったか」(『聖徳大学言語文化研究所 論叢』12)の冒頭で、次のように書きました。
アリストテレスは「ひとがソクラテスに帰して正当と思われるものが二つある、すなわち帰納の論法と一般者を定義することがこれである」(アリストテレス全集12『形而上学』岩波書店,pp.448-449)
帰納法とは、いくつかの具体的な事実から、一つの結論を導き出す方法です。ソクラテスは、対話の相手に「あなたはこうではないか」「こうでもあるね」などと問いを重ね、「だからあなたはこうだね。では、こうする生き方をしなさい」と、価値観の転換を促しました。一般者とは「善」や「勇気」といった概念のことで、これをどう生きることが「善く生きること」なのか、「勇気ある行為なのか」自らの生き方で示しました。アリストテレスの言明を単純化するとそのようになるでしょう。
皆さんから、いろいろの参考資料を頂戴しています。気象予報士による『天気でよみとく名画』(長谷部愛著、中公新書)には、アリストテレスが『気象論』で「虹が水滴によってできる光の現象で赤、黄ないし緑、菫(紫)の3色」と書いていることが紹介されています(p.32)。
ドイツの哲学者ヤスパース(1883-1969)は、対話において聴く側は「自分を自由にはばたかせることを望んでいる」というようなことを書いているそうで(「ヤスパース哲学入門」『100分de名著』NHK出版、p.46)、ソクラテスはいわば対話相手の「新しく生まれ変わりたい」との深層心理を知っていて、産婆の役を担っていた、と言えるかもしれません。
座談の場では、実は一人一人がソクラテレスのような「産婆」の役をしているのではないか、と私は感じております。ヤスパースの説く、わたしたちの心の奥に「生まれ変わりたい」との願望があるとしたら、わたしたちはときにはソクラテスとなってほかの方々の「生まれかわり」願望を刺激し、ほかの方々のソクラテスによって、「生まれ変わり」願望を刺激されていることになるのではないでしょうか。ご自由にご議論ください。
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