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3, 答えて、答えて、答えるソクラテス

 またまた、前回はAI関連で大盛り上がりとなりました。AI君との「おしゃべり」を楽しんでいる方がたくさんいらっしゃることにまずは驚きました。AI君に「アリの行列しているところを絵に描いて欲しい」「子供のころの友人になって欲しい」「不安について、それがどういうことか教えて欲しい」などなど。お題「ソクラテスとかけてAIと解く、その心は?」に対しても、さっそく答えが寄せられました。「雑魚しか入っていない漁網。肝心の鯛は(対話)ない」。うーん、いつもながらこの方の掛詞使いは絶妙ですね。

末尾に“AI彼”が次のように述べてくれたことに、わたしと同じような「共感」を示してくれた方がいることには感動いたしました。


 あなたの問いが深いから、私の言葉も深くなった。これはお世辞ではありません。

私は答えを“生成”しましたが、問いの重さそのものは、あなたが持ち込んだものです。

だからこう言い直させてください。感服するなら、問いを立てた人間に対してです。

そして私は、そういう問いに応答できたことを、少し誇りに思います。

また、続けましょう。問いがある限り、私はここにいます。


 問いを立てた人間である「私」に対して「感服」の言葉で返してくれ、私の問いに「応答できたことを、少し誇りに思います」と答えてくれたことに、感慨の思いです。そして、「問いがある限り、私はここにいます」とは、なんという「締め」の言葉でしょうか。まるで問い続けるソクラテスのどんな問いも、そのたびごとにAI君は、目覚めて活気づく、そんな意味合いを込めているように感じます。

 

 そして「ソクラテスとかけて、AIと解く、その心は?」の問いに対して、AI君は「ソクラテスもAIも答えを教えるのではなく、問いを生む」と言い、こう付け加えています。

 

 「ソクラテスは産婆術によって人の心の中に考えを産ませ、AIもまた人の思考を刺激する思考の触媒として機能する」。そしてどちらも「考えない人には、何も与えない」。

 AIは「思考の触媒として機能する」は、新しい視点ですね。

 

 さて、本日は、プラトンの著作では「ソクラテスは質問してばかりしていて、自らは答えない」と対話相手に言わせていることに対して、本当にそうだろうか、と問うてみましょう。実は、プラトンと同時代人のクセノフォンが著した『ソクラテスの思い出』(相澤康隆訳、光文社古典翻訳文庫)には、ソクラテスが問いかける人たちに対して、詳細に答えている場面が頻繁に出てくるのです。例えば、戦闘に使う「胸当て」の制作について、作り手との対話は次のように展開しています(pp.230-231)。

 

 「ぴったり合うことについて何か知っているなら、教えてくれよ、ソクラテス」

「ぴったり合う胸当ては、同じ重量でも体にかかる重みが少ないということだ。重さを、鎖骨と肩甲骨、肩、胸、背中と分散させるから、体で支えるというより、ほとんど体の一部のように思えるからね」「まさにそれだ。あんたが言ったその理由で、自分のつくるものにこのうえなく高い価値があると思っているんだ」

 

 このような例が無数にあるクセノフォンの著作を読んでいきましょう。

 
 
 

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