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10、おしゃべりとかけてソクラテスと解く:その心は?

  • 2025年12月2日
  • 読了時間: 3分

 前回の座談「未完成の美学」も、皆さまの知見が沸騰して、私のような無知蒙昧な輩はただ目を白黒するばかりでした。ジョジ・ハリソンのギターがうますぎて、ポール・マッカートニーが「ぼくの作曲した曲は『へたうま』に弾いて欲しいんだよ」とクレームをつけ、ギター演奏を自分に変わった、とのビートルズ逸話が紹介されました。「へたうま」って、いったいどんな弾き方なんでしょうね。


 この曲は、「Ob-La-Di Ob-La-Daオブラディ・オブラダ」だそうです。この意味は、「人生は続く(Life goes on)」とかで、何でもポールの友人ナイジェリア出身ミュージシャンのジミー・スコットがよく口にしていた言葉だそうで、「何とかなるさ」という人生を肯定するものだとか。

 この曲を「ババア向けのクソ」だと、ののしるほど嫌っていたジョン・レノンが、突然戻ってきてピアノに向かい力まかせに弾いたのが、あの有名な「♪チャン・チャカ・チャッチャ・チャッチャ・チャッチャ」の印象的なイントロのフレーズだったそうです。


 画家・猪熊弦一郎の著書『マチスのみかた』(作品社)には、猪熊がマチスに自分の作品をみてもらったとき「君の作品はうますぎる」「絵は額縁に入れて飾るものではない」と言われたことが書かれている、ことも紹介されました。


 「過ぎたるは及ばざるがごとし」をひっくり返したような徳川家康の名言「及ばざるは過ぎたるに優る」も紹介されましたし、なんと、『世界の一流は休日に何をしているか』(越川慎司著、クロスメディア・パブリッシング)なる本に次のようなことが書かれている、との興味深い話にまで飛び火したのです。

 「一流の人たちは、仕事をその日のうちに終わらせず、少し残しておくそうですよ。それのほうが、次の日にかえって仕事のノリがよくなるそうです。これを、なんでもツアイガルニク効果と言うそうです」

 

 「ツァイガルニク効果とは、完了したことよりも、未完了・中断したことの方が強く記憶に残る心理現象」とかで、未完了なタスクに対して脳が「完了させたい」という緊張状態を保ち、記憶が強化されるためだそうです。この効果は、モチベーション維持や広告など様々な分野で応用されている、といわれているとか。

 

 本日は、「おしゃべりとかけてソクラテスと解く:その心は?」を問いかけとして、おしゃべりして欲しいと思います。ニーチェは「ソクラテスは自分を真面目に相手にされるように世間に仕向けた道化者だった」とい言っていますし、アリストテレスは「ひとがソクラテスに帰して正当思われるものが二つある、すなわち帰納の論理と一般者を定義することがこれである」と書いています。

 

 次回の講座は、「道化者ソクラテスの正体」と題して、今回の問いおしゃべりとかけてソクラテスと解く:その心は?」の答えを模索していくことにいたします。テキストは、拙著「ソクラテスにとって、他者とは何であったか」(『聖徳大学言語文化研究所 論叢』12)です。その冒頭をお配りしておきましょう。

 
 
 

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