top of page

2, 退屈かね ハイデガーくん

5 日前
読了時間: 3分

 新しいお仲間を加えて、私たち座談の凄い盛り上がり!『歩くという哲学』(フレデリック・グロ、山と渓谷社)『おおきな木』(シェル・シルヴァスタイン、村上春樹訳、あすなろ書房)『しろいうさぎとくろいうさぎ』(ガース・ウイリアムズ、ラボ教育センター)『はじめてのベルクソンー 時間をひらく哲学』(平井靖史、講談社現代新書)『時間は存在しない』(カルロ・ロヴェッリ、NHK出版)など、啓発的なたくさんの本と数々のお言葉を頂戴しました。


 「今ってないんじゃないの」。逆に「今しかない」「無限の時間があった子供時代に比べ、年を取るにつれどんどん時間が短くなる」「青葉城恋唄に、時は巡りまた夏が来て…とある部分に、時は巡らず過ぎていくだけじゃないの、とクレームがつき、時を季節と書いて“とき”と読ませるようにした、とか」青葉城恋唄 宴 八代亜紀「中島みゆきの歌『時代』にある、時代はまわる、を思い出します」(15) 時代 - 中島みゆき(フル) - YouTube。太陽系誕生の「タイムカプセル」とされる「木星トロヤ群小惑星」を目指す探査機「ルーシー(Lucy)」にビートルズの『ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ』の歌詞とメッセージが積まれている話も紹介されました。


 「退屈だなあ。何かやることはないかな」といった形で使われる「退屈」ですが、字義の「退」(しりぞく、後戻りする)「屈」(かがむ、屈する)から、「修行の厳しさや、悟りの世界の広大深遠さに圧倒され、気力を失って退いてしまう」ことを意味する仏教由来の言葉なのです。それが「難題にぶつかり、へこたれる」(中世・『太平記』の時代など)となり、やがて「物事に飽き飽きしてうんざりする」、そして「暇をもてあます」となっていった、というのです。退屈 | 仏教語豆事典 | 浄土真宗本願寺派(西本願寺)

 


 「長い(lange)時間・間(Weile)」を意味するドイツ語の「退屈」"Langeweile"(ランゲヴァイラ)について、ハイデガーは「退屈な人」「退屈な場所」「退屈な催し」など、何かの「もの」や「こと」によって「退屈」は生まれるとし、「気晴らし」や「暇つぶし」はその時間を忘れるための手段であると考えました(『形而上学の根本諸概念』東京大学出版会、川原栄峰他訳、pp.129-278)。『あくび指南』の見物人のあくびは、あくびの指南が退屈を生み、『それから』や『蜜柑』の主人公は、生きることそのものがもたらす「退屈」ですね。 


 ハイデガーは、「もの」や「こと」があろうがなかろうが、「気晴らし」や「暇つぶし」をしても消えない「深い退屈」なる状態があることに気づきます(同pp.221-278)。そして、この「深い退屈状態」が「世界とは何か」「私とは何か」の問いを生み出し(同p.251~)、やがてあの有名な『存在と時間』誕生へとつながっていくことになるのです。

 
 
 

最新記事

すべて表示
1, 同じ時間に、二度入れない?

「時間への旅」などという大それたテーマを選んで、さて、さて、何から始めるか戸惑っています。第一回に予定として組んだテーマ「退屈だよ ハイデガーくん」など、難しすぎてどう取り組んでよいか、最初から困惑しています。まずは、1989年(平成元年)に発売された、美空ひばりの生前最後となったシングル曲、名歌「川の流れのように」から始めるのが妥当ではないか、と考えています。【美空云雀】川の流れのように / 川

 
 
 
10,パスカルの「夢×正義」

「風邪で熱がでたとき、球が自分の方にころがってどんどん大きくなってくる夢を見た。恐くなって目が覚めると汗をグッショリかいていて、熱が下がっていた」「何度か夢のできごとが実際に起き、夢を見ないぞと夢で念じたら、夢そのものを見なくなりました」「古今和歌集に夢が出てくる歌が確かありましたね」小野小町の「思ひつつ 寝ればや人の 見えつらむ 夢と知りせば 覚めざらましを」(古今和歌集・恋歌五・552番)が有

 
 
 
9, 古代ギリシア人の夢

お一人がAI君に夢の科学的解析を頼んだところ、大脳皮質、記憶のたまり場「海馬」、感情に関連する「偏桃体」の三者のつながりから、夢が「自己回復のエネルギーを生産する場」になっている、とのヘーゲル的な説が出てくるそうです。アントニオ・ザドラ『夢を見るとき脳はー睡眠と夢の謎に迫る科学』(藤井留美訳、紀伊国屋書店)のご紹介があり、「夢は、私たちにとって必要なものだ、と言えるのではないか」との解説も、お一人

 
 
 

コメント


bottom of page